電子ジャーナル
地域安全学会論文集NO.46(電子ジャーナル論文)2025.3
投稿日:2025年3月21日
著者: | WANG HANFEI |
共著者: | 梅本 通孝 |
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論文概要: | 気候変動と都市建設の発展に伴い、中国北京市の豪雨リスクが高い。豪雨対策の一部として、北京市は災害情報伝達体制を構築したが、住民は豪雨警戒情報をよく理解できなかったなどの課題が存在している。本研究では、北京市住民の豪雨警戒情報に対する理解の改善方向性を検討するため、北京市の豪雨警戒情報伝達の現状と課題を把握した上で、住民の豪雨警戒情報の理解に対する影響要因を分析する。 |
著者: | 藤本 一雄 |
共著者: | |
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論文概要: | 本研究では,概ね100年以上前に発生した自然災害・感染症流行を起源とする周年行事のうち現在も継続して実施されている行事を対象として,その行事が継承され続けてきた要因を明らかにすることを目的して,東日本地区の市町村を対象に周年行事の有無等を確認する質問紙調査を行い,その結果を参考にして周年行事に関する文献調査を行い,これらの結果を踏まえて,各地を訪問して周年行事の関係者に対する聞き取り調査を行った. |
著者: | 本莊 雄一 |
共著者: | 立木 茂雄 |
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論文概要: | 本研究の目的は,「令和6年能登半島地震」によってもたらされた奥能登地域における直接経済被害が,奥能登地域のマクロ経済に与える影響を定量的分析により推計することである.奥能登地域を対象地域とする計量経済学的モデルを構築し,それを用いてシミュレーション分析を行った.地震によって,奥能登地域における人口的過疎化や経済的過疎化が加速することが明らかになった. |
著者: | 水村 拓洋 |
共著者: | 田口 博之 中村 仁 |
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論文概要: | 本研究は,令和元年東日本台風時における長野県長野市長沼・豊野地区の洪水を事例として,氾濫解析による分析,及び避難者の属性,避難開始時刻,避難経路についての多様な条件を設定した避難シミュレーション(マルチエージェントシミュレーション(MAS)モデル)による分析を複合的に実施することで,浸水開始後の水平避難の実施可能性を検証した.避難シミュレーションの結果,大河川の氾濫流到達前の中小河川の氾濫による浸水では浸水後の水平避難の実施可能性が高いこと,住宅地点と周辺道路との地盤高の差が大きい地点や道路の接続性の悪い地点では浸水後の水平避難の実施可能性が低いことが明らかとなった.MASモデルの評価では,浸水拡大を考慮した経路全体の評価を行ったため,氾濫解析での分析結果と大きく異なる結果が得られ,住宅全体の84~87%程度が氾濫解析のみの結果では危険側の評価結果となっていることが分かった.避難経路についての検証では,「浸水域内での移動を最短とする経路での避難」を実施することによって,避難成功率が6~12%程度改善したケースがあり,それらの避難者(住宅)は,周辺の道路の浸水が早い地形となっていることや,経路の選択肢が多いという地理的特徴を持っていることが分かった.本研究で得られた成果は,周囲の地理的特徴を考慮して浸水後における避難行動計画,避難経路計画を検討する重要性を示したものであると言える. |
著者: | 焦 禹禹 |
共著者: | 能島 暢呂 熊野 颯 |
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論文概要: | 本研究では,まず,南海トラフ地震において,日本の地震観測網に基づく緊急地震速報システムによる警報発令時間を,過去の緊急地震速報発令の記録を参照して予測する.これに基づいき予測された警報発令時間とS波到達時間の差により,猶予時間の空間分布を算出し,人口分布,震度分布と重ね合わせて猶予時間と震度曝露人口の関係を評価する.次に,南海トラフ地震の2720個の波源断層モデルを全て用いて,波源断層モデルと震源設定の組み合わせの多様性が猶予時間に及ぼす影響を検討する.最後に,南海トラフの南西領域に新たに展開された地震観測網であるN-netの導入が警報時間の延長に与える効果を検討する. |
著者: | 齋藤 悠介 |
共著者: | 大津山 堅介 廣井 悠 |
論文タイトル: | 来街者の津波避難経路選択の特性分析と津波避難に関する一考察-神奈川県横浜市・鎌倉市・藤沢市における歩行実験と質的分析によるケーススタディ- |
論文概要: | 本研究は,来街者の津波避難経路選択行動の特徴を把握し,津波避難における視覚による情報収集時の課題を抽出することを目的とし,神奈川県横浜市,鎌倉市,藤沢市における歩行実験を行い,参加者へのインタビューに基づく定性分析(KJ法)を用いた. 来街者の津波避難経路選択において特徴的だった点として「情報に基づく行動」が指摘され,都市空間に埋め込まれるべき避難情報表示として,海抜だけではなく追加避難の必要性と共に表示する必要性が指摘された.また比較分析や行動パターンによる分析から,道路面から目視で津波避難ビルかどうかが分かる表示方法も重要な都市空間における情報であることが示唆された。 |
著者: | 岸江 竜彦 |
共著者: | 鈴木 孝平 川口 淳 水木 千春 藤原 宏之 辻岡 綾 |
論文タイトル: | 都道府県災害対策本部事務局の指揮・統制プロセスに関する研究-2011年紀伊半島大水害における三重県災害対策本部事務局を事例に- |
論文概要: | 過去の災害では,災害対策基本法に定める都道府県の責務が十分果たされていない事例が報告されている.そこで本研究では,ISO22320に定める「指揮・統制プロセス」と,2011年に発生した紀伊半島大水害における三重県災害対策本部の活動を比較分析することで,指揮・統制プロセス上で生じる具体的な課題を制度面と運用面から明らかにした.具体的には,制度面として地域防災計画における指揮・統制プロセスに関する記載内容の調査を行った.さらに,実際に制度を運用する職員のインタビュー調査から運用面の課題を明らかにした.調査の結果,指揮・統制プロセスにおいて,「状況評価及び予測」に関する事項が地域防災計画に明記されておらず,運用面でも「状況評価及び予測」に関する課題が生じ,「計画策定」から「意思決定及び決定事項の共有」といったその後のプロセスへ影響が生じていることが示唆された.そのため,「状況評価及び予測」の具体的な活動を制度的に規定することの必要性を指摘した.本研究の限界は,現時点では制度的に見直されている可能性があること,インタビュー対象者の能力や経験によって課題と認識できる範囲が異なること,三重県以外の都道府県で同様の課題が発生しているかは明らかになっていないことである. |
著者: | 吉村 裕司 |
共著者: | 大田 直史 石原 凌河 |
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論文概要: | 令和6(2024)年元旦に発生した能登半島地震において、国が被災県宛事務連絡を発したにも関わらず石川県七尾市では救助法による公費支給について消極的であった。災害対策基本法(以下「災対法」)上、災害対策の第一義的責任は市町村長にあると定義されている。一方で災害救助法(以下「救助法」)の実施主体は都道府県であり、基礎自治体である市町村は受動的な立ち位置である。本稿では国、都道府県、市町村との関係性に焦点を当てつつ、救助法と災対法の歴史的な制定過程、相互の関係、制度課題、両法の不整合性とその背景を分析した。その結果、救助法、災対法ともに、市町村が住民の避難、救助に必要な情報収集や対策を自ら他機関との間で調整し、実施することを容易にする制度設計ではないにもかかわらず、市町村が災害対策について一義的な責任を負っている歪な構造であることを明らかにした。更に救助法制定時に同法に取り入れられた災害対策組織に関する規定は、同法制定14年後の災対法制定時に抜本的に改良され、災対法に受け継がれたが、救助法、災対法制定時のいずれにおいても国会審議において、特に都道府県と市町村との関係について踏み込んだ検討や議論を経ずに法が制定されたことを明らかにした。既存研究では国、都道府県、市町村との関係に着目して、救助法と災対法を一対として研究したものはないが、今後は両法を一対として研究する必要性がある。 |
著者: | 中井 春香 |
共著者: | 阪本 真由美 |
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論文概要: | " 本研究では,1945年に発生した三河地震を事例として,歴史地震の記憶を継承するための方策について,実践共同体による取り組みを中心に検討する.本稿の構成であるが,第2章では,歴史地震の記憶の活用に関する既往研究の概要を整理するとともに,再現された資料を活用するに際しての課題を述べる.第3章では,記憶継承の主体としての実践共同体とはどのようなものか述べるとともに,三河地震をめぐる実践共同体を整理する.第4章では,実践共同体による取り組みについて,具体的には,震度分布図,地域に残され断層などの史跡等の活用を検討する. その結果,幸田町のケースにおける実践共同体の良好な効果を生み出した要因についての考察は,以下の2点に集約される.第一は,受託研究員の活動である.もうひとつは,県指定天然記念物である深溝断層の存在である.以上から,歴史地震を継承するための有効な汎用的方法について,歴史地震に関する“活きた”痕跡や断層などのランドマークを支える多様なコミュニティの存在が重要となることが分かった.実践共同体の活動内容や構成員は時間の経過とともに変化するものの,多様なコミュニティが形成されることにより,記憶継承の取り組みは活性化されていく.そのためには,地域共通の災害の記憶の場として地震の痕跡を保存することと,それを取り巻く多様なコミュニティを形成していくことは重要である. " |
著者: | 長島 雄介 |
共著者: | 阪本 真由美 矢守 克也 |
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論文概要: | " 本研究は,自然災害によって被害を受けた自治体で用いられる小学生向け防災教育副読本が,他の自治体に在住する児童の学習にも有効であることを指摘している. 小学校の理科教育においては,地震や火山噴火がどのように起こるのかということより,地震発生前後,火山噴火前後の土地の姿の学習に重きが置かれ,児童が自然災害発生のしくみに対するイメージをもちにくい.一方で,ニュースや教養番組を見て「自然災害はなぜ起こるのか」「自然災害が起こったらどうすればよいのか」と児童が疑問をもつことがあっても,現在の小学校教育において,これらの疑問を解決するような教育課程は編成されていない.現状では,一人でいる時に自然災害に遭遇した児童は明確な根拠を持たないまま,自らの身を守る行動について判断を迫られることになる. そこで,本研究では,過去に地震や火山噴火によって被害を受けた自治体の防災教育副読本を調査し,自然災害発生のしくみを起点とした防災学習カリキュラムを考案した.そして,自然災害による被害を受けていない奈良県の小学校の防災学習で活用し,質問紙調査による児童の記述内容を基に学習の効果を分析した. その結果,学習の効果が認められ,実際に起きた災害から学ぶことの重要性とともに,「自然災害発生のしくみ」を学んだ上で「自立的な身の守り方」について考えることができる防災学習カリキュラムの必要性が示唆された。" |
著者: | 都 城治 |
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論文概要: | 発災時における消防団の重要性は高いものの、人数不足は深刻な社会問題である。消防団の未加入理由が調査されているが、特徴的な背景は知られていない。23区民を対象に消防団に未加入理由の調査を行い、消防団の存在を知らなかった、もしくは勧誘や誘いが今まで無かったから、と回答した住民に関連する背景を多変量解析によって明らかにすることとした。1060件の回答を解析し、女性であること、過去の被災経験、職業に関する変数、居住年数、一人暮らしか否かが独立した関連を認めた。 |
著者: | 李 惠智 |
共著者: | 牧 紀男 |
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論文概要: | "気候変動に伴う水害の頻発により、堤防整備によらない、土地利用を用いた治水対策が期待されている。また、流域に関わるあらゆる関係者の協働が強調されている。しかし、誰が関係者として位置づけられ、どのように協働すべきかは明確にされていない。本研究では土地利用一体型水防災事業を事例に、土地利用を用いる治水対策における関係者や進め方などの仕組みを明らかにする。 第3章では、治水対策における土地利用と関係者の変遷を時間の流れでまとめ、1977年から土地利用としての治水対策が本格化し、都市部から非都市部、内水対策といった対象範囲が拡大されたことを明らかにした。また、関係者においては、行政担当者同士の協働から始まり、民間事業者と学識経験者及び地域住民の順に位置付けられるようになったことを明確にした。 第4章では、ヒアリング調査を通して土地利用一体型水防災事業が12河川・18か所で実施されたことと事業詳細を明らかにした。 第5章では、京都府福知山市の土地利用一体型水防災事業を実例に、国と市、住民が関係者として位置づけられ事業が進められたこと、そして、地域コミュニティーの維持と合意形成が実施上の課題であることを明らかにした。" |
著者: | 中島 美登子 |
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論文概要: | 岩手県大船渡市の仮設住宅を事例として,避難所における自助活動から仮設住宅初期におけるインフォーマルなコミュニティ活動の時期,自治会結成後のフォーマルなコミュニティ活動の時期へと至る仮設住宅におけるコミュニティ再生のプロセスを,インフォーマルな住民グループとフォーマルな自治会,そして仮設住宅支援員の関係に焦点を当てることによって具体的に明らかにした.その結果,仮設住宅の復興過程においては公的なネットワークと個人的なネットワークが併存しながらコミュニティ活動が展開されていたこと,仮設住宅支援員が両者のネットワークをつなぐ役割を果たしていたことが明らかとなった. |
著者: | 小松原 康弘 |
共著者: | 井ノ口 宗成 |
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論文概要: | 被災経験を振り返り,対応のなかで得た教訓や知識を記述し,将来の減災に活かしていくことが重要である.本研究では,知識継承を念頭においた災害対応で得られた教訓や知識の振り返り手法を提案する.本提案手法のポイントは,①現場における知識や教訓に迫る災害エスノグラフィー,②合理的な伝承・業務記述を目指すWBSテンプレート,③アジャイル開発で用いられる振り返りフレームワークKPTを適用したことである.今回,令和6年能登半島地震災害の被災地である富山県氷見市において実施された罹災証明発行業務の振り返りを事例として試みた.氷見市における罹災証明発行業務は,氷見市を中心に,対口支援の調整を行った富山県,罹災証明発行業務に精通したエンジニアが協働するなど,先進的な協働事例の一つである. |
著者: | 八木 亮介 |
共著者: | 奥村 与志弘 |
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論文概要: | 阪神・淡路大震災では,被災後の過酷な生活環境や避難生活での精神的のストレスなどが影響し,命を落とす「災害関連死」が社会的に認知されるようになった.また,日本では高齢者人口が増加し,介護サービス受給者も増加すると考えられる.そこで,東日本大震災時の気仙沼市の事例を用いて関連死と介護サービス受給者との関係を分析した.この分析結果から,関連死による犠牲者のうちの39.4%が介護サービス受給者であった.さらに国際疾病分類に基づいて死亡原因を分類すると,居宅サービスでは呼吸器系の疾患,循環器系の疾患で全体の約75%を占めており,施設サービスでは呼吸器系の疾患,循環器系の疾患で全体の約66%を占めている.さらに,気仙沼市における関連死犠牲者の介護サービス受給率と平常時の全国の介護サービス受給率の比較を行うと70代と80代の関連死犠牲者は平常時と比べて介護サービス受給者の割合が高かった.90代以上の関連死犠牲者は,平常時と比べて大きな差は見られなかった. |
著者: | 香取 由真 |
共著者: | 劉 虹 肥田 剛典 永野 正行 |
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論文概要: | 本研究では,高齢者福祉施設におけるの過去の災害時の避難行動の詳細および移動を伴う避難訓練の課題を明らかにすることを目的とした.特養の9施設を対象にヒアリング調査を実施し,過去の災害時の避難行動の状況および移動を伴う避難訓練の実態に着目した.その結果,定期的な避難訓練が実施されているものの,全職員が避難訓練に参加できる体制が必ずしも整っていない現状が明らかになった.また、災害時の迅速な避難行動のため,利用者の移動を伴う避難訓練の実施が重要不可欠であることを明らかにした.そこで,有効な避難手段を検証するため,高齢者の移動を伴う避難訓練に同席し,避難移動時間を計測するとともに,異なる移動手段の避難移動速度を試算した.車椅子利用者は職員による介助のある歩行利用者と比べて,避難移動速度が速く,そのばらつきが小さい結果となった.歩行利用者の避難移動は,利用者の身体的かつ精神的な状態に依存するため,限られた職員による避難確保のためには車椅子を利用する避難移動が現実的な手段であると考えられる. |
著者: | 紅谷 昇平 |
共著者: | 駒田 大地 |
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論文概要: | 本研究では、2019年に制度化された連携型の事業継続力強化計画に注目し、計画を策定した企業グループの代表企業に対して質問紙調査を実施し、代表企業や連携の種類別にみた計画の特徴について分析を行った。その結果、北陸地域で計画策定が進んでいること、金銭的インセンティブの利用が少ないことが明らかになった。代表企業を組合・中規模企業・小規模企業に分類して分析した結果、組合は連携企業数が多く、経済団体からの要請で策定する傾向があり、中規模企業は都道府県を越境する連携が多く、小規模企業は金銭的インセンティブを利用する傾向や同業者と繋がる傾向が見られた。連携型強化計画では、事業継続の課題とされる代替性や人的融通などが計画に盛り込まれており、単独型にはない効果が期待できる結果となった。 |
著者: | 荒木 徹平 |
共著者: | 坂本 淳 |
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論文概要: | 人口減少に直面する都市は,居住誘導を通じたコンパクトな都市への移行が必要とされてきた.しかし、居住誘導を実現するにあたっては,市街地における大規模な津波リスクへの対応は困難である.本研究では津波リスクを有する地方都市における,居住誘導に関する支援措置の方向性の提案に向けた知見を把握することを目的とし,中心市街地の大半が津波浸水想定区域内にある地方都市において,住民の2時点における居住選好に着目し分析を行う.分析に使用するデータは,高知県須崎市に居住する世帯に対して令和5年9月から11月末にかけて著者らが実施したアンケート調査の結果である.分析では,中心市街地以外の地域に居住する住民群の居住選好について主成分軸を抽出し,2時点間における居住選好の変化,個人特性などを踏まえて住民群の特徴を把握した.その結果、居住誘導区域の設定地域について大規模な変更は必要でなく、住宅形式などを踏まえた多様な支援措置にすることが居住誘導を実現するために望ましいことが示唆された. |
著者: | 目時 和哉 |
共著者: | 福留 邦洋 |
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論文概要: | 本研究では、過去の津波被害の発生に動機づけられて設けられたモニュメント群を「津波モニュメント」と定義し、岩手県内で悉皆調査を行った。その結果、以下の諸点が明らかとなった。岩手県内で「津波モニュメント」の定義に合致するモニュメントは244確認され、これらの大部分は明治三陸地震津波と昭和三陸地震津波をきっかけとして設けられたものである。「津波モニュメント」の性格は、供養碑型、記念碑型、標石型の3つに大別される。東日本大震災において、41%のモニュメントが津波による被害を免れたが、過去の津波浸水線上に設けられたモニュメントについては、70%が浸水、損壊、流失いずれかの被害を受けている。全体の約半数のモニュメントが、寺社や墓地といった、地域における供養や信仰の拠点に設けられており、これらのモニュメントの51%が東日本大震災において津波被害を免れた。一方、当初の設置場所からの移動が確認されているモニュメントは17%に上り、その中には過去の津波到達点や浸水域を示すモニュメントも含まれる。現時点で所在地域住民との間に明確な関係性が看取されたモニュメントは全体の26%であり、その関与のあり方は、定期的な災害犠牲者供養、間接的供養、周辺環境整備、防災教育、災害の記憶の継承の促進の5つに大別された。 |
著者: | 千葉 啓広 |
共著者: | 岡田 恵実 荒木 裕子 水井 良暢 中村 洋光 平山 修久 |
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論文概要: | 本研究は災害に関わる不確かな状況に対する課題の抽出方法及び,図上訓練等への活用を意図した抽出課題や社会状況の整理方法を提示することを目的として,「南海トラフ地震臨時情報」発表時の状況を事例として,図上訓練等のへの適用も念頭に予測される課題及び社会状況の関係性を踏まえた整理のあり方について検討を行った.この結果,ワークショップ形式の議論で得られたデータに基づいて,数量化理論Ⅲ類とクラスター分析に用いた予測される課題間の関係の整理や項目群として抽出することで,「建物の安全」と「避難行動」の項目群のように,関連付けて検討すべき項目群を見出し得ること明らかにし,訓練等の企画や検討手順を考える上で参考となり得る可能性を示した. |