電子ジャーナル
地域安全学会論文集 No.19
投稿日:2013年8月30日
著者: | 沖田 陽介 |
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論文概要: | 東日本大震災発生時、日本は各国から多数の国際捜索救助チームを受け入れたが、過去の事例を見ると、国際捜索救助チームは生存者を救出できていないことが多い。本稿では、どのような場合に国際捜索救助チームが生存者を救出できるのかについて、被災国からの要請、災害種、建物構造等の観点から考察する。また同時に、国際捜索救助チームが被災者の感情や外交関係といったものに与える正の影響についても考察する。国際捜索救助チームの活動、目的は生存者の救出のみにとどまらず、ご遺体の収容やガレキの除去といったリカバリー活動も含まれる。本稿はこれらの議論を通じ、今後の国際捜索救助チームの派遣および受入に関する提言を行う。 |
著者: | 小高 暁 |
共著者: | 川崎 昭如,大原 美保,近藤 伸也,小森 大 輔,アディソーン ・ サンタララック |
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論文概要: | アジアの山間・農村地域において,政府や自治体の限られた資源のなかでは,社会基盤整備による災害抑止や災害支援が期待できない.また,深刻な貧困問題に起因する情報通信手段の制限,および低い教育レベルにより,都市部と同様な手段で災害情報を収集・活用することは極めて困難である.本研究では,そのような山間・農村地域においても普及が進む携帯電話に着目し,災害情報伝達におけるSMS導入の可能性を検討すべく,タイ東北部のルーイ県において,ヒアリング調査,およびアンケート調査を実施した.その結果,既存の災害情報伝達システムの効率化を図るとともに,SMSの効果的な導入方法を示した. |
著者: | 森下 雄治 |
共著者: | 山﨑 正史 |
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論文概要: | 江戸の都市防火に関しての政策は、概ね享保期までに結実した。その主要な防火政策として、1)火除地の設営、2)消防の組織化、3)防火のための建築規制の三つの施策を挙げることができる。これら三つの防火策は、互いに連関しあいながら施行された点に特長がある。しかし、享保期以降火除地は逓減し、防火のための建築規制は弛緩が進み、消防の組織については、武家方の組織が漸次縮小され、三つの施策の連関性は希薄になった。幕末に至って、江戸の防火は町火消が一手に担うようになった。 |
著者: | 石川 永子 |
共著者: | 伊藤 則正,泥 可久,小口 優子,原田 正隆,立木 茂雄 |
論文タイトル: | CBRに基づく障がい者と地域コミュニティを対象とした災害時の 避難環境イマジネーション訓練プログラムの実践と分析 -神戸市兵庫区の事例- |
論文概要: | 災害時の避難所の運営に関して、障害者と地域コミュニティ・専門家・行政等が協力するために、災害時のイマジネーションスキルを向上させるためのトレーニングプログラムを開発した。1)障害者が参加者・講師役など多様な役割を果たすことにより、障害者の社会参加への意識の向上した、2)地域コミュニティ住民の障害者へのコミュニケーション能力が向上した、3)障害者の中でも社会的なつながりが薄い層の参加を促せた、4)各ステイクホルダーの役割分担が具体化できた、5)被災した障害者の個人的経験が、避難所のユニバーサルデザイン化の提案につながった、6)多様な障害者が情報交換し、社会的な議論に参加する機会が提供できた、という効果があった。 |
著者: | 崔 錦丹 |
共著者: | 佐土原聡,吉田 聡,稲垣景子 |
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論文概要: | 地理情報システムを用いて東京都全域の官公庁と厚生医療施設を対象に電力消費密度と熱消費密度両方が高いメッシュエリアを抽出して、CGS導入拠点の候補とした。そして首都圏1都3県の官公庁と厚生医療施設に対してアンケート調査を行い、発電容量の契約電力に対する割合を把握した。平常時の電力消費量のピーク値を賄える常用CGSを導入とするケースと、既存の非常用発電設備を常用CGS化するケースに分けてCGSの容量を決め、発電効率と排熱回収効率を用いてCGSの排熱量を算出し、余剰の排熱を周辺3,000m2以上の建物に配り、排熱量を分配するエリアをマッチングした。最後導入できるCGS容量とCGS導入により削減できるエネルギー率とCO2率を検討した。 |
著者: | 本荘 雄一 |
共著者: | 立木 茂雄 |
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論文概要: | 大規模広域複合災害である東日本大震災でおいて,被災自治体が全国からの支援を生かすためには,阪神・淡路大震災で指摘された支援を行う側の「支援力」を高めることに加えて,支援を受ける側の「受援力」を高めることが 必要不可欠であるという認識が広がった.本研究では,東日本大震災発災後における神戸市からの被災地への職員派遣を事例として取り上げて,広域支援の全体的評価感や支援力,受援力について尺度づくりを行い,次いで広域支援の全体的評価感と支援力・受援力との関係を検証する. |
著者: | 近藤 伸也 |
共著者: | 目黒 公郎 |
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論文概要: | 本研究では,学会で発表されている論文・報告等から防災に関連するものを抽出するとともに,各学会の防災研究の動向をあらかじめ設定した視点から計算機を用いて分析することを試みた.具体的には,防災関連学会の論文データベースを構築し,分析の視点として「災害」,「対策」と「災害による影響」を設定した.次にこれらの視点に該当するキーワード集を構築するとともに,論文データベースにある論文・報告等を全文検索して防災に関連する論文を抽出した.そして抽出された論文をキーワードの出現数に基づいた的中率を算出することで,各学会の動向を分析することが可能であることを示した. |
著者: | 池内 淳子 |
共著者: | 矢田雅子,権丈(武井)英理子,東原紘道 |
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論文概要: | 本研究では,阪神・淡路大震災の既往資料から病院間における傷病者搬送実績に着目し,病院分布状況や搬送距離等について明らかにした。その結果,震源地から約40km圏内の病院では病院規模によらず約1000名の傷病者を受け入れており、被災地付近の大規模病院が被災地内病院からの傷病者搬送を受け入れていた。また、傷病者の直接受け入れと他病院からの転送を受け入れた病院も存在した.大地震災害後の傷病者搬送には、被災地内外の災害拠点病院同士が連携しあう事、搬送手段を具体化する事,病院施設の耐震性を向上し拠点機能を保持する事が必要であると述べた。 |
著者: | 岡本 篤興 |
共著者: | 鍬田 泰子,齊藤 栄 |
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論文概要: | 地震被害に対応した震度が数多く提案されてきた.著者らも,気象庁の計測震度の算出方法に則した方法で低層住宅のような一般的な建物の等価周期である1~2秒に着目した震度を提案し,建物被害との関係についても良い相関があることを確認していたが,これまでの検討では,過去の地殻内地震の地震記録を多く使用しており,海溝型地震の地震記録は少なかった.そこで本研究では,東北地方太平洋沖地震の記録を用いて新震度を算出し,過去の地震記録との関係や建物被害との相関性を確認するとともに,海溝型地震の地震動への適用性を検証する. |
著者: | 佐藤 翔輔 |
共著者: | 今村 文彦,林 春男 |
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論文概要: | 本稿では,広域災害における被災地外からの人的支援を効果的に配分することの重要性に着目し,東日本大震災において岩手県,宮城県,福島県に入った外部からの人的支援量の関連要因に関する分析を行った.分析に当たっては,人的支援量として,被災地自治体への応援職員の派遣人数,ボランティア活動数,外部流入人口を対象にし,ハザードの大きさ,被害の大きさ,アクセスのしやすさ,地域の規模,メディアへの暴露量との対応関係を分析することで,人的支援の量に及ぼす影響について考察を行った. |