電子ジャーナル
地域安全学会論文集No.23 (電子ジャーナル論文) 2014.7
投稿日:2014年7月30日
著者: | 村上 滋希 |
共著者: | 林 春男,田村 圭子,牧 紀男,東田 光裕,堀江 啓,濱本 両太,小松 瑠実 |
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論文概要: | 2012年8月13日から14日未明にかけて発生した京都府南部豪雨災害において京都府宇治市におけるICTを活用した罹災証明発給集中発給業務において受付での受付人数の集計、映像データ、コンピュータログを用いた分析により業務の効率化手法の検討を行った。発給業務窓口を受付、外待合、中待合、一次窓口、二次窓口、三次窓口と分け窓口の役割の分離,業務フローの確立・可視化・共有,発給が完了できない発給希望者の一次窓口への流入防止,多数の発給希望者の訪問への対応のための待合の必要性,対応職員に対する研修・訓練や相互応援による実務による事前の学習の必要性が明らかにし,迅速な罹災証明集中発給業務の効率化に寄与した. |
著者: | 能島 暢呂 |
共著者: | 加藤 宏紀 |
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論文概要: | 本研究は,都市ガスの低圧本支管の脆弱性と地震時供給停止判断に関する最近の動向を踏まえて機能的フラジリティ関数を構築し,推定震度分布と都市ガス供給人口分布に基づいて供給停止人口を推計する方法を提案したものである.2004年新潟県中越地震,2007年新潟県中越沖地震,2011年東北地方太平洋沖地震を対象として,それぞれSI=60, 62, 65kineの機能的フラジリティ関数を適用し,ガス停止人口の実測値と推定値を比較した.推定/実測比は上記地震順に52%,64%,58%とやや過小評価となり,都道府県別評価では過大・過小評価の幅が広くなったものの,予測モデルの推定精度は,一部例外を除いて倍半分程度であることが確認された. |
著者: | 本莊 雄一 |
共著者: | 立木 茂雄 |
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論文概要: | 本研究の目的は,神戸市災害受援計画を参照しながら,被災地外からの人的支援を受援側がうまく生かす能力「受援力」を強化する一環として,受援計画の事前策定を取り上げて,その意義や含むべき内容を考察するものである.研究の分析視角としては,災害に対する社会学的組織論のDRC類型(Disaster Research Center Typology)やプロセス・モデルに着目する.研究の方法としては,東日本大震災の発生後に支援活動に関わった,神戸市の職員派遣の担当者や国際協力NGO/国内NPOを対象としたインタビュ調査の結果等を活用する. |
著者: | 田平 由希子 |
共著者: | 川崎 昭如 |
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論文概要: | サイクロン・ナルギス後ミャンマーの防災体制は国際支援を取り入れながら着実に進展してきた。しかし,防災支援はナルギス被災地に偏る傾向があり,それ以外の地域の地方防災体制の実態,かつ毎年広範囲で発生して経済に甚大な被害を与えている洪水対策については,包括的に捉えた資料が存在しない。本稿はミャンマーの地方防災体制の全体像を明らかにするために,バゴー郡での洪水対策を取り上げ,災害時の情報伝達や行動,直面した問題に関する住民と行政官へのインタビューを基に,草の根レベルにおける防災活動の実情を浮かびあがらせた.さらに,SWOT分析でバゴー郡における洪水対策を「強み」「弱み」「機会」「脅威」の4項目にわけて分析した. |
著者: | 森田 匡俊 |
共著者: | 小池 則満,小林 哲郎,山本 義幸,中村 栄治,正木 和明 |
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論文概要: | 南海トラフを震源とする巨大地震による津波被害想定の公表を受けて,沿岸部の地域では,津波からの避難計画の見直しや新たな避難計画の策定が必要とされている.本研究では,海水浴場の観光客及び周辺住民を対象とした津波避難訓練において,地震が発生した時点からの時間軸を考慮した解析を実施し,津波からの避難のあり方を考える.具体的には,海水浴客の避難行動をGPS機器および定点カメラによって追跡し,訓練参加者の海水浴場から避難所までの避難行動を明らかにする.あわせてアンケート調査を実施し,参加者の属性や避難訓練に対する意識を調査することで,よりよい津波避難計画策定への提案を行うことを目的とする. |
著者: | 藤森 崇浩 |
共著者: | 小山 真紀,清野 純史 |
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論文概要: | 災害が起こった際の被災者の情報ニーズは、職業や年齢、家族構成といった個人属性によって様々であり、これらを考慮して情報提供を行う仕組みづくりが求められている。本研究では、災害後の個人属性ごとの情報ニーズを明らかにするための基礎的研究として、全国紙である朝日新聞と、地方紙である河北新報の約10ヶ月分の震災関連記事に対してテキストマイニングを行った。その結果、各個人属性ごとのおかれた状況を時系列で整理することができた。また、被災地内外の読者に向けた全国紙と、被災地内の読者に向けた地方紙の二つを比較して、記事内容の違いや、被災地の状況が全国紙で伝えられるまでにタイムラグが存在することも明らかとなった。 |
著者: | 佐藤 翔輔 |
共著者: | 杉浦 元亮,野内 類,邑本 俊亮,阿部 恒之,本多 明生,岩崎 雅宏,今村 文彦 |
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論文概要: | 本稿では,災害時の「生きる力」を解明するために,仮設導出を目的にして,東日本大震災を経験した78名の被災者に対する面接調査とそのテキスト分析といった質的研究アプローチによる探索的な研究を行った.その結果,1)災害時の「生きる力」を困難とその対応・対処の事例,対応・対処できた理由の組合せは,発災直後の緊急対応,応急対応,復旧・復興対応,フェーズに関わらないことの4つのカテゴリーに別れること,2)困難に対応・対処できた理由は,性格,考え方・習慣,社会関係資本,個人の能力・資源,過去の災害経験で大別できる可能性を示した. |